1998.07.09 | 05:00 | マリーナペラガス出航・和歌山県勝浦港へ回航 |
13:00-16:30 | チェックイン・選手登録・ウエルカムパーティ | |
18:00-20:00 | キャプテン会議・安全祈願 | |
1998.07.10 | 06:00 | 乗船開始・出航・指定海域待機 |
07:00 | スタートフィッシング | |
15:00 | ストップフィッシング・17:00までに帰港 | |
1998.07.11 | 06:00 | 乗船開始・出航・指定海域待機 |
07:00 | スタートフィッシング | |
14:00 | ストップフィッシング・16:00までに帰港 | |
19:00-20:00 | 表彰式・パーティー | |
1998.07.12 | 07:00 | 高松へ帰港 |
朝3時半起床(朝じゃなく夜中だよな)。4時に家を出て4時半にマリーナ着。準備して予定通り5時に出航。6艇揃って夜明けの瀬戸内海を移動する。波もなく穏やかに晴れ渡った海を23ノットで平和に巡航。
紀伊水道を南下中、それは突然起こった。キャビンに飲み物を取りに行った仲間がふと後ろを見ると、右のエンジンの排気が少し黒い。この速度で過負荷の訳もなく、冷却水温も80度で安定している。少し速度を落としてみても、やはり右だけがおかしい。船を止めて平井さん(今回のキャプテン)が海水に顔突っ込んでペラを確認するが異常なし。という事はエンジンだ。メカの岡崎君がエンジンルームを覗いて叫ぶ。「海水吹いてる!エンジン止めてー!」真っ青・・・。全員無言。とりあえず左側だけの片肺で一番近い港を目指す。
ほぼ同じ場所で仲間の「ヒロキ」も流木を引っかけてペラ破損。2艇とも片肺で1時間半掛けて田辺港のシータイガーというリゾート系マリーナに着く。ここのポンツーンを借りて修理開始。僕の右エンジンは、ターボからの排気管の接合部が破れてそこから排気と海水を吹いた模様で、これは溶接すればすぐ直るけれど、問題は吹いた海水を吸い込んだターボとエンジン本体だ。これが壊れているとどうしようもない。
4時間掛けて修理は完了し、いよいよ船を出してテスト。徐々にスロットルを開けてゆく・・・。1500では異常なし。1800では、、、吹けない! 駄目だ。黒煙吹いたのでスローダウン。最高速15ノット。これじゃ天候悪化などの危険の回避が出来ないから、勝浦へ行く訳にはいかない。何度かテストをしてみたが症状はほとんど変わらない。メカの岡崎君はマリーナと電話で話をし、そのあと辛そうに一言。「為國さん、マリーナへ戻ってください」。この時点で勝浦は終わったと思った。好きな女に突然さよならを言われた気分だった。
帰港のために10分ほど走った頃に平井氏が突然「もう1度全開にしてみて」と言う。スロットルを押し込むとやはり黒煙。5秒、10秒、15秒・・。なんと2200を越えたあたりからターボが生き返り、パワーダウンあるもののなんとか22ノット出るじゃないか!何度もテストし、排気や水が漏れていないことを確認したあと決断。「勝浦へ行くぞ」。
直行するには燃料が足りないのでそのまますさみ港へ。給油して大急ぎで勝浦を目指す。チェックインタイムは過ぎているし、ウエルカムパーティにも間に合わないけれど、とにかく走れる。まだやれる。まだ戦える。このとき舵を握っていたのは僕だけど、涙がぼろぼろこぼれてきて止めようがなかった。格好悪いなんて全然思わない。「神様がくれた時間」というものを素直に信じた。勝ち負けなんかどうでもいいから、とにかく試合に出られる事が嬉しくて仕方がなかった。結局、19時過ぎに到着し、真っ暗になってから宿に入る。そのまま風呂してビールしてすぐに全員沈没。
着いたぞ勝浦へ。やれるぞ。
トーナメント1日目。キャプテンの判断で大島(串本)沖に出ることにする。勝浦は全く初めてのポイントなので右も左もわからない。黒潮の分流が接岸しており、素直な潮ではなくかなり濁りが入っているようだ。カジキの餌になるのはイカがメインで、信じられないような浅い色のスカートに食ってくる。
午前10時過ぎにカジキがヒット。当たったのは4番に入っていた素イカのルアーだ。ヘッドを付けず、しかも色は薄い肌色。ちょっと気持ち悪い。フックアップはしなかったものの、カジキがルアーエリアに入ってきて叩くのはしっかり見ることが出来た。そのあとシイラ2本釣れるもタグ&リリース。
結局、この日はこれだけで終了。新宮でマルジェ(去年の優勝チームで、浜名湖のヤマハの実験部隊。)が1番にヒットさせてランディング成功した模様。それ以外にも大阪勢が活躍する。中には30ポンドで上げたチームもあり唖然。この日、釣果申告(タグ&リリースの)をし忘れてしまい結果はなし。
港に着いてから漁具屋へ探検隊。いい色の(地元漁師特注色)のイカのスカートがあるじゃないか。ヘッドも安い。ごそっと買い込んで金払ってる最中に他の客がたくさんやってきてルアーの物色を始めた。へっへん、遅いよ、全部買い占めしちゃったもんね(笑)。船に戻ってルアーを作っていると、ドンピエロが小さいイカを持っておらず苦戦しているとの話が聞こえてきた。自分のと同じイカでもう1セット作って平井氏に差し入れを頼む。彼らはすでに寿司屋で飯食ってるようだ。
・・・ところが待てどくらせど帰ってこない。電話してみると「生ビール3杯飲むまで帰らせて貰えないんです」。キレた。「お、おまえね、いつからドンピの子になったんだ?俺らみんなで帰り待ってて腹減らしてるんだぞ」思わずどやす。食い物とビールの恨みは恐ろしいのだよ。まあ宮脇オーナーの性格からすりゃ帰りますなんて言えないのは分かるけど。とにかく食い物屋で落ち合うことにしてメカさん連れて飯に出る。しばらくすると平井氏がようやくやってきた。文句言おうとすると、なんとドンピエロのクルー全員連れてきてるじゃないか・・・。寿司屋で飲んでたはずなのに、わざわざ出てきてくれた模様で、とても書けないような下ネタ話を大声でしつつげぼげぼに飲んで、「ほなおさきに」と金払ってとっとと帰ってしまった。後で聞くと僕の名前を出してしまったそうで、えらく感激して乗り込んできてくれたらしい。ほんとに気持ちのいい人だ。見た目はどう値引きしても5人は殺していそうな○クザの大親分なのだが・・・。あーこわ。
そのまま宿に戻ってキーを受け取る時にいきなり荷物を渡される。ぬわんとウイスキーの差し入れ!いやー嬉しかった。どうもありがとうございました(ってなぜここで書くかね(笑))。この酒がめちゃ旨くて、よしみんな呼べってんでマリーナのスタッフ全員を電話で呼び出し、ついでにヤマハの部品屋さんまで呼んで宴会開始。ビール1ダースにウイスキー1本があっというまに空になってしまった。みんな疲れているのでそのまま10時には沈没。平井氏の大イビキで数度目が覚めるも気にせず爆睡。
トーナメント2日目。キャプテンと2人で賭けに出る。同じ潮なら昨日ヒットのあった新宮(勝浦出てすぐ北東)へ向かおうということに決まり。他にそっち方面へ行ったのは、70数艇中たった5艇。なんだかなー。不安にゃなるけどバクチなのだから仕方がない。朝から流してシイラとオキザワラ(約11kg)がヒットするもタグ打ってリリース。サワラはお持ち帰りして味噌漬けにしようと思ったけど、キャプテンが「為國さん、ツノがないんだから逃がしてやろうよ」と言うのでリリース。この日もカジキのヒットはあるもののルアーに乗らず、14時丁度にストップフィッシング。勝浦のすぐそばだったので急いで戻って船洗って油入れて申告して早々とアンカリング。
宿に帰って風呂して着替えてパーティ会場へ。この時のためにスラックスとシャツの綺麗なのを1つ用意してきていた。本当は表彰台に上る時にだけ着ようと思っていたシャツなのだけど(事実、土佐では着なかった)、メダルや名誉以上のものを手に入れられた気がしたからもうこれで良し。よその船のクルーはやっぱりオーナーには一目置くけどうちは全然関係なしで、みんな仲間。ほんとにお疲れさまでした。ゲーム終わったらノーサイドでいいんだよ。
死ぬほど食べて拍手して酒飲んで、釣りと女の話で盛り上がっていたとき、タグ&リリース部門の表彰が始まった。「それでは発表します。1位は4ポイントで・・」。げっ、一瞬真っ青。初日の書類申告ミスがなけりゃうちは優勝だったじゃないか・・・。思わずチームクルーに向かって土下座しました。はい、私が悪うございました。まあカジキじゃないのでどうでもいいんだけど、、。そこにさらに追い打ちが。「3位は2ポイント獲得のチーム・アクエリアスの方々」どっかーん。最低。いちばん悪いパターン。いやがる仲間を無理矢理引き連れて表彰台へ・・。はずかしーーー!!。こんなの聞いてない。勘弁してくれ。写真撮られてひやかされて、真っ赤になって帰ってきました。一応こんな形でも表彰台に上れたから良しとしようか。
朝6時出航。大島沖からトローリングを始め、10時までは流すことにする。昨日ヒットがあった水深200mラインのあたりはプレジャーボートの大群がいるので、そのまますさみ沖へちょっと移動して狙うことにする。同じ潮なら上でも下でも一緒だよたぶん。ちんたら流していると無線で大阪の船が「あーー!前に割り込んできた船がカジキヒット!」と怒鳴る。さんざんグチっているのを聞いていやな予感が・・・。あそこには仲間の船(フューチャー3)がいるはずだぞ・・・。無線でコールするも返事がない。しばらくして「フューチャー3、カジキをランディング」げろげろ、やっぱりそうだ。無茶するよな、あの人らも。
田辺で給油して帰ろうと紀伊水道に入るとものすごい北風で波高2m。大した波じゃない(←完全に感覚がマヒしてる)のだが、どうしても波頭に突っ込んでしまって盛大に波をかぶることになり巡航15ノットが限度。そのまま田辺に入って給油して食事。のんびりビール飲んでるうちに更に天気が悪くなり、波高はついに3mほどになる。こうなると7ノットでも突っ込むことがあるのでひーひー言いながら北へ向かう。しばらくすると無線で仲間のフューチャーが燃料漏れを起こして停船したという連絡が入る。ヒロキは片肺で7ノットしか出ないし、うちはエンジンかたっぽ死にかけてるし、フューチャーも片肺にするしかないだろう。荒れてなけりゃ大丈夫だが、この天気じゃ大変だぞ。ということで大慌てで手助けに向かう。1時間ほどどったんばったん走って、屋根の上まで波かぶって、ふと見ると腕が塩で真っ白。ま、海に入るよりゃマシだと思いひた走る。1時間後、ようやく全員集合。メカさん移動させてあとは鳴門抜けてベタ凪ぎの瀬戸内海走って高松へ。
凪いでしまえばやることがない。平井氏とビール飲みながら馬鹿話。この人、とにかくアグレッシブな釣りをする人で、一度船に乗せてもらってハマチを釣りに行った時は、ルアーでやりに行ったのに、最後にはサビキまで出してきて釣り始めたほどの気合いの持ち主。一緒に釣り行くと必ず「平井さん、おなかすいたから帰ろうよー」とか「もう真っ暗で周り誰もいないよー」とかになる。でも、どうして船のオーナーってのは釣りと女の話しかしないんだろうねー(笑)。よしよし、こんど2人であちこちやっつけようと意気投合し、いろいろな情報交換とテクニックの伝授(釣りのですよ、釣り)であっという間の2時間のクルージング。高松でのナンパのローカルルールとかをしっかり教えてもらって非常に有意義でした。マリーナ帰って船洗って中を掃除して18時に全部終了。はやく帰って洗濯物洗わないと明日の飛行機までに乾かないという切実な問題があるので急いで帰る。洗濯機まわしてシャワー浴びてチャットして、気が付いたら床で寝てた。ちゃんとベッドに移動して0時就寝。あーーーーーー楽しかった!!
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