2000.07.13 | 07:00 | マリーナペラガス出航・和歌山県勝浦港へ回航 |
13:00-16:30 | チェックイン・選手登録・ウエルカムパーティ | |
18:00-20:00 | キャプテン会議 宿へチェックイン(ホテル浦島) | |
2000.07.14 | 06:00 | 乗船開始・出航・指定海域待機 |
07:00 | スタートフィッシング | |
15:00 | ストップフィッシング・17:00までに帰港 | |
2000.07.15 | 06:00 | 乗船開始・出航・指定海域待機 |
07:00 | スタートフィッシング | |
14:00 | ストップフィッシング・16:00までに帰港 | |
19:00-20:00 | 表彰式・パーティー | |
2000.07.16 | 07:00 | 高松へ帰港 |
今年は笹原さんの「カイザー」に乗せて貰う事になり、朝7時にマリーナ出航。ヤマハのPC−41(カイザーはボルボ72の2機掛け)はやはり足が速く、巡航28ノットで瀬戸内から紀伊水道へ。追い潮・追い風でしかもベタ凪。あっという間の5時間で勝浦到着。あー、こういう船と一緒に遠征してたのか。こちとら(PC−36時代)は24ノットが限界あっぷあっぷで、しかも勝浦まで無給油ではぎりぎり。すさみで給油すると1時間ロスるんで、どんなに順調でも7時間掛かったのに・・・。
昼過ぎに勝浦に入り、油槽船の横という絶好の場所に着ける。船を洗って給油して、ウエルカムパーティという名の昼飯。小型のマグロのカブト焼きを食べる。めちゃくちゃ美味。そのあと「ホテル浦島」にチェックインして風呂。街に出て食料の買い出しをして船に戻り、皆で焼き肉パーティをする。。。。予定だったのだが、僕が1人だけキャプテン会議に出ねばならない。想像した通り、出てるあいだに焼き肉は終わっていた(涙)。1人分だけ焼いて貰って食べていると・・・、おねーさん(推定35歳)2名が船にやってきた。「この先でスナックやってます。よかったら来てください(はーと)」。なんと客引きである。その場はそれでお引き取り願った。
そのあと1時間ほど船で飲んでいると、誰からともなく「・・・おい」「・・・うん」「・・・いこか?」「・・・そだな、ヒマだしな」で遠征決定。クルー7名+駅前で出会ったヤマハの営業を無理矢理引っ張り込んだ8名は、カラオケスナックへと乗り込んだのであった。店の中には常連らしき客が10人ほどおり、おねーさん3人ではサービス期待するほうが無理。それでも「おい、あの子いいよな」「あっちの子の方が胸がでかい」とか盛り上がりながら、カラオケ歌って焼酎の水割りばかすか飲んで大宴会状態。明日は試合なので12時になったところでお開きに。
どうでもいいけど、みんな元気だ。
朝7時、1日目のスタートフィッシング。前の晩の酒が残っており体調不調だがとりあえず頑張る。しかしやっぱり元気度43%くらいしか出てこない。今日は潮岬の真南5マイルほどで狙う。すぐにシイラがヒット。80ポンドの竿でドラグが出るほどだったのでとりあえずキャッチすることにして僕がファイト。3分でランディング。重さを量ってみると12キロあった。
そのすぐ後、仲間のフローレンスからヒットコールが入る。しばらくして「カジキ、ランディング!」との声が。こちらも俄然熱くなってくる。
午後に入って、3番(右舷外側)に入っていた茶色のイカのルアー(マックヘッド白蝶貝)にカジキヒット!しかしファーストランでなんとリーダーブレイク。切り口はすっぱりしているので、針が当たったのだろうということになる。これが間違いの始まりだったとは気づかなかった・・・。その後はヒットなく午後3時にストップフィッシング。
30分ほどで勝浦へ戻ってきて船を片づけしてすぐ風呂へ。そのあと街の飲み屋へ繰り出す。結構有名な店らしく、マグロの目玉の煮付け(!)やら、マグロの卵の煮付け(!!)やら、変わったものを出してくれた。ほげほげ飲んでとりあえず今日は早めにお開きになる。素直に宿に戻ってネット入ってメールチェックして就寝。
前日は7本のカジキがあがったそうだ。今日から大潮で潮まわりも良く、更なる釣果が期待出来そうだ。朝8時過ぎから次々にヒットコールが入るもうちの船には当たりなし。4番(左舷外側)に入っていたイカのルアー(白蝶貝)に小さいシイラが掛かったのでタグ打ってリリース。リーダーに傷が入っていたので、気を利かせて僕がリギングやり直す。その後、刻々と時間は過ぎてゆくもノーヒットで、無線もずっと静まり返っている。
午後1時少し前、さっきと同じ4番のルアーにカジキがヒット!5本中、ただ1本だけ僕の竿で、糸も新品が入っている。ファーストランは700mほどで止まり、オーナーの笹原さんが椅子に座ってファイト開始。僕はリーダーマンを受け持つ。今回のキャプテン(操船担当)は、ドンピエロでずっと操船していた福井君。すでに2桁のカジキをあげているので信頼出来る。1時間ほどでダブルラインが入ったので安心していたのだが、そこから50mほど出たところでびくともしなくなった。ドラグを締め上げてポンピングで浮かそうとしても全く駄目。ラインはトランサムステップから1mほどまで来ているし、船で引っ張ろうが何しようが全くあがってこない。
波高2mほどの中、アスタン(後進)を繰り返しているので、波をかぶってパンツまでずぶ濡れ。しかし魚は全く動かない。「こりゃあ死んだかな?」という事になり、帰港制限時間も気になるので、更にドラグを入れて無理矢理浮かす事にした。チェアのジンバルが抜けており、更にその筒の取り付けまでもが壊れはじめていた。ここが折れればスタンダップでやるしかないが、80ポンドに2スピードワイドのリールにカーブバットでのスタンダップは絶対無理。最後の勝負に出た訳だ。
ストッパーのちょい先までドラグを上げて(横から見た感じでは10キロは軽く超えていた)ゆっくりポンピング。それでもなかなか上がって・・・・来た! でかい! まだ生きている! 向こう側に向かってゆっくり泳いで行ったのが見えた。その後そのドラグ値でやりとりをすると、やっと左右に振れてきた。ファイトから3時間、ついに魚はこちらを向いた。チェアのジンバル取り付け部はすでに片方折れており、竿は斜めになってきている。もうここで引っ張り上げるしかない。
やっとダブルラインが全部入った。ここからは僕の戦いだ。ラビットを握って合図し、糸を出して貰って左舷へと回り込み、リーダーを絞り上げ・・・・・・・・。
切れた
正直、その後の事はよく覚えていない。手に残ったリーダーは、さきほど自分でリギングをやり直した場所で、無情にもぶっつりと切れていた。スリーブ(留め金)を打ち換えただけなのに、なぜここで切れるんだ。過去、何百回も同じスリーブ、同じリーダーを使って、全く同じ手法でリギングしてきたのに、なぜ切れたんだ。なぜ・・・。
これが今回のラインブレイクの真相です。僕のリギングのせいで、200キロ以上は確実にはあったカジキを逃がしてしまった。リーダーの切り口は、まるで刃物で切ったようだった。ラビットからリーダーに握り返して引き絞った時、まだほとんど力は入っていなかったと思う。港に帰ってリールのドラグを調べてみたら14キロあったので、考えようによっては、僕の手で切れて良かったのかもしれない。
帰着時刻を大幅に越えて勝浦に戻り、給油して船を洗って風呂してパーティへ。チームの1人ひとりに謝ったけれど、正直、もうカジキ釣りは出来ないと思った。酒を飲んで部屋へ戻って沈没。
8時出航。今日も昨日と同じポイントを流す事にする。しかし逃がしたツキは戻らず、昼までやってノーヒット。12時に終了し、そのまま高松へ向けて戻る。途中、鳴門をすぎたあたりでマルアジを狙ってサビキを落とすと、かわいいウルメイワシが1匹釣れた。
5時前にマリーナに着き、船を洗って荷物を整理して解散。お疲れさまでした。
あれから3日が過ぎた。ショックからは立ち直ったけれど、どうしたらいいのかまだ分からない。いま思いつくのは、手持ちのすべてのルアーのリギングを見直す事。それにリーダーを引っ張ってみての強度テストをやること。それだけしかないかな。でも、もうカジキ釣りは出来ないだろうな。そんなことを漠然と考えていた。この原稿もなかなか進まない。表向きには「ジンバル故障でラインブレイク」ということになっていたから、本当の事を書くのには少し抵抗があった。こんなもんは自分だけで背負えばいいんだと思っていた。
気分が乗らないままこの原稿を書いていたら、いきなり携帯電話が鳴った。今回キャプテンをしてくれたマリーナの福井君からだ。カイザーが来週の水曜日に和歌山までカジキ釣りに行くという。「為ちゃん、あのイカのルアー、茶色いスカートにマックヘッド付けたヤツ、欲しいんやけどなぁ。なんとかならんかなぁ」。最初は意味が分からなかった。確かにあのルアーは波高2mくらいまでの勝浦では無敵のルアーだ。同じスカート(サイズはワンサイズ落ち)にフェニックスのヘッドの組み合わせでは、ビーフラットが世界記録のクロカジキを上げている。大会1日目にカジキに持って行かれてしまったので、補充しようとは思っていたけれど、いま東京にいる僕に「欲しい」なんて言ってもどうしようもないだろう。カジキ逃がした張本人に。
仕事が割り込んできたので、「調べて明日また連絡する」と電話を切った。その後、2時間ほどして接客している最中に、ふと・・・・・・・気付いた。客が帰って1人になったら、不覚にも涙がこぼれた。
俺は底なしの大馬鹿野郎だ。
今夜、いつもの釣り具屋へ行き、あのルアーの材料を買おう。手持ちの秘蔵スカートやスペシャルヘッドを出してきて、カジキがばんばん飛びついてくるすごいヤツをリグってやろう。週末には自慢のお宝ルアーを全部持ってマリーナに行こう。
仲間達に会いに。
約束通りマリーナに行く。福井くんと2人でイカばっかり6本もリギングしてしまった。中には「うっ・・・これはすごい」というのもあり、自分でも同じヘッド探してきて絶対に組もうと思う。「福ちゃん、絶対やっつけてこいよ。このあいだの、口にハリ残してる奴な。」「(笑)」
一緒に行きたくて行きたくて行きたくて仕方がないけれど、想いはルアーに託した。あ、カジキじゃなくてキハダでもいいぞ、その方が旨いから(笑)。
まだ続く(笑)。今日はスズキのトーナメントの表彰式だ(結果は悲しいから書けない)。カイザーは発電機壊してしまって今週は出られなかったらしい。8月2〜3日に再チャレンジするという。さすがに月末月初は無理なのだが、その次の週、お盆にも行くらしいので思わず手を挙げた。もういっぺんチャンスがあるかもしれない。やるよ。ほんとにさ。
お盆を利用して串本へ遠征しようという計画だったが、台風9号が接近したためにあえなくボツ。これで今年のカジキ釣りはすべて終了。女の涙とお天気には勝てない事になっているらしい。ど〜しようもないなこりゃ(笑)
ま、でも、ホントにいい夏だったよ。 うん、楽しかった。
俺、幸せだよ。
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